第4回フォーラム

日時:平成13年3月27日(火)
場所:環境サポートセンター 多目的ホール
講師:尾本 直隆(おもと なおたか)先生 (北電総合研究所)
内容:『石狩川の環境とチョウザメの生態について』

 日はお招き頂いてありがとうございました。石狩川の環境とチョウザメの生態について、という題名を頂いたのですが、実は石狩川に関しては素人なのですが、自分が研究の対象にしているチョウザメがかつていた川ということで、非常に自分自身、興味は持っています。ですから石狩川に対する思いというのは皆さんと変わらずに持っています。今回はチョウザメの生態を紹介しながら、どうしてチョウザメがいなくなったかという事を考えれば、石狩川の環境を考えるきっかけになると思います。そのような視点でお話をしたいと思います。

 
日非常に面白い資料を見つけました。レッドデータブックという、環境庁がこれまで作っていたものを見直すということで、北海道がまず作ったのですね。環境庁、水産庁ともにチョウザメの名前が出てきたことがなくて、研究している私としてはひがんでいたのですが、今回初めて名前が出てきまして、注目しました。それだけではなくて、今まで絶滅種というのは北海道では一度も出たこと無かったのですが、今回は絶滅種として登場している。今まで話題にも上らなくて、国内ではなじみがないのですけど、北海道には非常に縁がある魚です。

 
ず、チョウザメの名前から来る連想がありまして、その誤解を解くことから始めなければいけないんですけど、サメという名前から皆さんサメの仲間だと思ってしまうのですが、サメではありません。普通の魚はしっぽの形が上と下が同じ、サメの仲間は上の方が長い。それから、胸ビレは普通の魚は体にぴたっと張り付くようにあるのですけど、サメの仲間は水平に飛行機のようになっていて、そういう特徴のある魚を昔の人はみんなサメと言ったんですね。チョウザメもそういう特徴を持っていた。原始的な魚の特徴なのですけど、サメじゃないのに形が似ているのでサメという名前がついてしまった。チョウザメはチョウザメ科で独立した種類で、研究者によって違いますけど、世界で大体25〜28種類くらいいます。石狩川にいたと言われているのはただのチョウザメですね。このチョウザメはもう絶滅したと言われている位ですから、我々が飼育試験に使っているのは、ロシアから持ってきた魚です。オオチョウザメというのとコチョウザメ、スターレット、ベルーガ、それをかけ合わせたベステルという魚を使っています。今回はチョウザメからどうやったら子供を採れるかという研究をベステルを使って紹介して、そのあと石狩川に昔いたというチョウザメの話をしたいと思います。

 
さんチョウザメを下から見ることはあまりないと思うんですが、サメではない証拠に、ヒゲが4本生えている。それから口には歯がありません。ここにがあるのですけど、普通の魚と同じように鰓を動かすことが出来る。サメというのは、鰓は体に切り込みが入っているだけで、ぱくぱく出来ないのですね。チョウザメの生態はよく判っていないのですが、恐らくこのひげで泥の中をあさって小動物を食べていると考えられています。その証拠に、口が伸びるようになっています。歯は無くて、丸飲みです。恐らくひげで探し当てると口がズボッと伸びて、吸い込むようになっている。非常におとなしい魚で、私はこの口から手を突っ込んだということはよくしています。全然、人に危害を加えるということはありません。

 
槽を紹介しますと、夏は炎天下で、冬は雪が入る状態で、零度近くになります。でも魚は全然なんともありません。非常に温度域の広い魚です。

 
ョウザメというとすぐキャビアのことを思い浮かべて、お腹を裂きたいと思う人がいるみたいなのですけど、いつもキャビアが入っているわけじゃありません。産卵期にならないと。まず、いつ卵を持つかということを調べました。外から見てもオスかメスか分からないので、お腹を一部切って調べた。だから可哀想うなのですけど、この魚は1月毎にお腹を切られてしまった。ただ、非常に生命力が強く、2ヶ月前に切ったところがもうきれいにつながっている。非常に病気に強い。普通の魚だと手で触っただけで死んでしまうものもいるんですが、切られても平気な魚です。

 
体10kgの魚だと2〜3kgのキャビアが入っています。温度差の激しい環境でも、卵を持ち、精子も作られるということがわかりました。実はチョウザメだけじゃなく多くの魚がそうなのですけど、卵を持つ、精子を持つ、だけど産卵しないという例がいっぱいあります。特に水族館なんかそうなのですけど、私なりの解釈ですと、チョウザメというのは川に昇って卵を産みます。川に昇りきるまでは、卵や精子が体から出ないようにブレーキがかかっているんだと思います。そのブレーキが産卵に適した環境におかれないと解けない。だからいくら待っても卵を産まない。実際チョウザメでも我々はそういう体験をしました。そのあと卵はどうなるかというと、グジュグジュになって身体に吸収されてしまいます。それは何とかしなきゃ、ということで排卵を司るホルモンを外から注射しました。これはチョウザメだけでなくて、なかなか卵を産んでくれない魚によく使う手法なんですけど、チョウザメの場合、各個体がてんでばらばらに成熟するんです。だからどの魚を使うかというのが一番難しかった。普通の魚であれば産卵期になれば卵を持っている。あと、メスが毎年卵を持つ訳じゃない。大体3年おきです。そういういろいろな課題を克服しながら、ホルモンを注射することで、卵を得ました。

 
ョウザメの卵は受精させるとべたべたしてきます。お互いくっつきあって卵が呼吸できなくなって死んでしまうので、粘土の入った水のなかでかきまぜばらばらにします。

 
の分割の様式も普通の魚よりカエルやサンショウウオに近く、生まれたときはまさにおたまじゃくしみたいです。普通のサケ・マスだと栄養の入った袋がぶら下がっているんですがチョウザメは体と一体になっています。分類学上も非常に興味深い魚です。大体10日くらい経つと目ができて、ヒゲも生えてくる。この時からえさを食べるようになる。最初の1ヶ月は歯があるために、この時期は共食いをする。50日くらい経つと、完全なチョウザメの形になる。以上がベステルというロシア産のチョウザメを使って卵を取るという研究の一端をお話ししました。

 
ョウザメの卵が採れるようになったので、ほとんど夢物語なのですけど、道産チョウザメを復活出来ないかと考えました。材料がなければどうしようもないので、チョウザメが今、どういう状況なのかということを調べることにしました。まれに北海道沿岸でも漁の網にかかり、かかると新聞記事になってしまうくらい珍しくなってしまった。この研究を始める前の段階ですけど、新聞記事や各地の情報を片端から集めまして、1993〜1995年にどれくらい北海道沿岸でチョウザメが捕まった記録があるのかを調べた。実は1種類じゃなかったという事も分かったんですけど、特にどこということはないのですが、大体1年間2匹くらいの割合で取れているらしい。5年続ければ10匹くらい集まるかもしれないという楽観的な考えで、北海道沿岸には大体100位の漁協があるのですけど、一つ一つ全部行きまして、チョウザメがかかったら電話してもらえないだろうか、トラックで取りに行くので、生かしておいてもらえないだろうか、というお願いをいたしました。それ以外には水族館とか水産試験場にも、チョウザメ捕れたら教えて欲しいと、大体130箇所行きました。大体漁師さんは少し大げさに言いますから、ああ良く取れるよと言いますが、実際どうかなと思っていました。そしたら次の年にいっぱい電話がかかって来て、11月のオホーツク海に集中しまして、取りに行くという約束を果たせないような状況に陥ってしまった。11月にオホーツクによくいるようだという事、昔、石狩川や天塩川にいたと言われているのはミカドチョウザメというのですが、どうも数多く捕れているのはそれと違うようだ、という事も分かりました。それから今まで日本で捕れたことのないような、図鑑にも出てないようなチョウザメもいました。1匹づつですが。その年が特別取れたみたいで、次から減ってきましたね。オホーツクに多かったのがそれほどでもなくなった。お願いに行ってから年数が経つと印象が薄れるので、仕方がないのですけど。ほとんどがダウリアチョウザメだった。その後はどうだったかというと、やっぱりオホーツク海が多かった。ダウリアチョウザメだった、という状況です。2000年までやったのですけど、情報を集めるということはやめることになりました。でも絶滅したと言われているのが意外と沿岸で捕れているということが分かりました。ただ、産卵場所である川で捕れたというのが非常に少ない。1箇所だけ天塩川の河口というのがありますけど。本来いるべき川で取れていない、というのはどういうことかという事を考えていきたいと思います。

 
ョウザメのチョウは、まるで蝶々が羽を広げたような特徴的な鱗を持っている、ということからチョウザメという名前が付いた。ダウリアチョウザメとミカドチョウザメの見分け方なのですが、裏返すとよく判ります。口の大きさを見れば一目瞭然ですね。口が大きくて両側のがつながっているのがダウリアチョウザメ、口が小さくてえらぶたがつながっていないのがミカドチョウザメです。

 
ウリアチョウザメは、この巨大な魚から子供を採るのは無理だと思いました。ロシアや中国でも上手くいっていない。中国ではこの魚は魚へんに皇と書くのです。最も価値のある魚だということですが、やはり上手く子供が取れていないという状況で、人工孵化をしないとどんどん減ってしまうのじゃないか。15年以上経たないと卵が取れないし、キャビアを取るためにどんどん捕られているから、これからどんどん数は減っていく。アムール川にはまだいるそうですが、カスピ海の近縁種は激減しているそうです。今の方がダウリアチョウザメ、もう1種類はただのチョウザメ(ミカドチョウザメ)ですね。特に北海道のどの場所というのはない。取れる数は非常に少ないのですけど。幸い、ダウリアチョウザメは大きすぎて運べなかったし、持って帰ってきてもすぐ死んでしまうということがあったので、ミカドチョウザメについては1993年に取れたのがまだ生ている。先程のダウリアチョウザメに比べれば、まだ可能性がある。頑張ば飼育できるし、生た状態で上手く手に入れれば何とかなる、ということでまずこの魚を大事に育てました。卵を取って、1年半経って少し大きくなった。もう1年経ったらまた少し大きくなった。このままじゃいけないと思いまして、考え込みました。3年も待ってちょっとしか大きくならない。海で取れたので海水で飼っていたんですが、川で生まれたのだから、思い切って真水に変えてしまおうと、変えました。チョウザメはすごいパワーがありまして、海水と真水の間の浸透圧調整も問題がない。非常に生命力が強い。真水に変えて1年後はかなり大きくなった。わずか1匹ですけど、希望の灯火です。頑張ば、卵が取れる。残念ながらうちにいるのがメスで、何とかオスを探さなければいけないという状況もあります。

 
狩川には、以外にもチョウザメにまつわる話が残っていまして、例えば江別はユぺオツというチョウザメがいる川という意味ですね。カムイコタンから先はないのですけど、カムイコタンでは熊が山の神でチョウザメが川の神だというアイヌ伝説がある。子供が川に流されたとき、大きなチョウザメが川を堰き止めて、子供を助けてくれたという話が残っています。空知川では、赤平に鮫淵という場所があって、深くなっている。ここは大きなチョウザメがいて、泳ぐときは怒らせないように、と言われていた。芦別はシュプオマナイという地名があって、アイヌ語でチョウザメが卵を産む穴という話があります。どこまで本当かわからないのですけど。文献とは言い難いんのですが、嘘でもなさそうな話が残っています。たぶん、伝説がこれ以上上流ないというのは、チョウザメが昇れなかった場所だと思います。カムイコタンは狭くなっているので、大きな魚はここから先は昇れなかった。

 
っている文献が少なくて、町史とか洗いざらい読んだのですけど、その中で、骨が軟骨で一緒に似て食べたとか、黒い筋子が取れたという表現があるのですね。魚で、黒い卵というのはチョウザメ以外にないのです。これは間違いないと思います。骨が軟骨だというのも合っています。あと、にかわを作ったという記述もあります。かってヨーロッパではチョウザメのが最高級で、ダイヤと指輪をくっつけたりしたそうです。チョウザメから取ったはアイシンググラスという名前までついているのです。釧路の昔のアイヌと和人の交易でも、チョウザメの皮3枚、などという表現が出てきます。

 
狩町の教育委員会の人が言っている話なんですが、1717年に、チョウザメを幕府に献上したという記述があります。刀の鞘の装飾にしたそうです。北海道に住んでいたといわれるチョウザメだけなんですけど、大きな蝶の形をした鱗の列の間に、小さい鱗が並んでいまして、それはちょうど菊の形に見えます。恐らくそれは本当じゃないかと思います。実際に私の方にも本州から、刀の鞘にくっつけたいから標本をくれないかという電話がありまして、そういう事があるみたいです。

 
塩川はチョウザメを取る漁法だとかどうやって食べるかという話が多くて、天塩川の方は食べていたみたいです。石狩川の方は神格化して食べるという対象じゃなかったみたいですね。これは1907年に、きちっとした学術的な文献で、非常に古いのですが、これが決定的で、1尺とか書いてあるのですけど、6〜9cmは1才、23cmは2才、37cmくらいが3才くらいじゃないかと、ちゃんと個体見ながら述べています。この小さいのは、ロシアから泳いでくるのは絶対出来ないはずですから、これは絶対、石狩川か天塩川で生まれた魚だと思います。この著者は面白くて、きちっとした学術文献なのですが、話の導入の仕方が面白い。札幌の市場には7〜8月になるとチョウザメが並ぶ、という書き方をしています。石狩ではあまり食べなかったという話を聞きましたけど、札幌の魚屋さんで売っていた時代があったようです。

 
供のチョウザメにこだわるのですけど、小さい標本は貴重なので、北海道中を探し回りました。北海道大学水産学部の資料室で35cm、これは現物を見てきましたけど、残念ながら石狩としか書いてないのですね。いつ取れたかもわからない。北大植物園の倉庫に、大小の剥製があるそうです。でもいつどこで取れたかというのは全く不明。小さいのが確実に捕れていたという資料がないと、なかなか北海道で昔チョウザメがいたよということを一般の人に納得してもらえない。つい数年前までは私が北海道にチョウザメがいたという事を言っても、それはロシアの方から泳いできたのでしょうと、あまりまともに相手にされない時期もありました。何とか相手にされるように、いろいろと探したわけです。有り難かったのは、美深町に、34cmのがちゃんと標本で残されていた。捕れたのは昭和初期だそうです。日付は分からないけど、美深町の郵便局員さんが釣りで釣ったという話は語り継がれている。これも倉庫で眠っているのですけど、北海道でチョウザメが生まれていた。天塩川で生まれた子供だろうと。非常に貴重な標本だと思います。

 
は日本の話をしましたが、実は北半球全域にチョウザメがいたんですが、今はどんどんいなくなった。茨戸でもチョウザメ戻せないかという話をしてますけれど、世界中で同じ様な事をしている。それをちょっと紹介します。ヨーロッパにいるCommon Stergeonという種類が減っていて、保護しようという動きがある。アメリカでも、いなくなったと思った珍しいチョウザメが見つかって、ミシシッピ川なのですけど、何とか我々の手で復活させようという運動です。次は中国ですね。揚子江では今大きなダムを作っているのですけど、何とか中華チョウザメを保護しなければいけないと。

 
わゆるチョウザメ、北海道にいたというチョウザメはどうなっているのかということなのですが、今確実に残っていると言われているのは、アムール川の南側に小さい川があって、そこにしかいない。そこ以外はロシアでもいない。ロシアはいろいろ経済的に大変だと言われていますけど、生物に対する認識は進んでいまして、保護しないと駄目だと、言っています。サハリンでは、サハリンを代表する魚として、積極的に官民一体となって保護活動しています。

 
ョウザメの蝶の形した鱗というのは以外と風化しないで残るのです。札幌の開発に伴って遺跡をいろいろ掘り起こしているのですけど、4ヶ所からチョウザメの鱗が出てきています。昔の人はチョウザメを食べたのじゃないかと思います。

 
滅と言いますけど、いついなくなったか?大正7年の8月に開道50周年博覧会があったそうです。その時1週間粘ってチョウザメを捕った。ということは、この時はまだいたんじゃないかなと思います。

 
狩の石浜ってどこだかわからないんですが、53cm位のチョウザメが捕れたらしい53cm位の大きさは北海道で生まれたかどうか微妙なのですけど、石浜がどこなのか探し出して欲しい。50cm超えると、海にも泳いでいる。するとロシアの方から泳いできたんじゃないかと言われるのですね。だから30cm以下の標本をこれからぜひ見たいなと思います。

**意見交換**

質問1:美深町での養殖の目的は何ですか?
尾本:あれは、チョウザメを養殖して町おこしをしようということです。キャビアを採ることも最終目的にありますが、何しろ10年かかるし、なかなかコストを考えると厳しいので、肉が美味しいのでまず肉を出していって、キャビアも、という事です。

質問2:水質は選ばないのですか?
尾本:選ばないみたいですね。カスピ海とかもかなり汚い。チョウザメがいる川は、いわゆる澄んだ川ということはないですね。みんな泥水で。特に水についてはうるさくないのじゃないかと思います。化学物質については分かりませんが。それだけ生命力が強いのにどうしていなくなったかというと、成熟するまでに14年、大きなやつは20年かかります。そうしてやっと川に卵を産みに戻ってきたチョウザメをキャビアを採るために殺しますから。チョウザメというのは本来卵を産んでその場で死ななければ何年かしてまた卵産みに戻ってきます。だけど、キャビアを採るときは殺します。それが一番の原因で、あとは非常に大きいので、川に許容量がないと。例えば浅かったり流れが速かったりすると、川に昇れなくなる。

意見:私は小学校時代に旭川にいたのですが、カムイコタンにチョウザメがいるということは小学生レベルでも知っていました。

質問3:中国の4mになるチョウザメは、今はいるのですか?
尾本:三峡ダムという大きいダムが出来るのです。それで産卵を阻害されるということで、非常に心配して研究所を作って研究しています。

質問4:なぜサメなのにキャビアなのですか?
尾本:英語ではStergeonという独自の名前がちゃんとついていまして、その卵がキャビアです。サメとは全く違います。キャビアは3mm位です。サメは直接子供を産む胎生のものもいますし、サメの卵は大きいです。サメを食べる習慣がある地域があるのですけど、そこで食べる味を想像してもらうと困る。僕は食べたことありますが、サメのようなアンモニアくささがない。

質問5:どういう川だったら生息していけるんのですか?
尾本:もういなくなってしまっているから、検証のしようがないですが、やっぱり2m位の魚ですので、それだけ大きな魚は当然水の抵抗を受けます。だからある程度澱んだ場所が必要だと思います。それから、2mの魚の腹をいやすだけの小動物(小さな魚や海老やミミズの仲間)がいないと駄目だと思います。成長はその位になるとゆっくりなので大して食べないですが、ひっくり返さないと口がないので、下に落ちているものしか食べられない。他の魚と一緒に飼ったことあるのですけど、えさが下に落ちるまでに他の魚が全部食べてしまって、全く食べられない。そういうところも、全滅に至った一つの原因だと思います。いくら生命力が強くても。ダウリアチョウザメだけ口が前に付いていて、魚を食べるような口になっています。

質問6:飼う場合には、どういうことを注意すればいいのですか?
尾本:まず飼う以前に、今入手できるのはベステルという種類です。昔石狩川にいただろうという種類についてはまず手に入らないです。だから別の種類を飼った場合、これは石狩川に放してはいけない、という配慮が必要です。それを前提に、チョウザメを啓蒙の為に飼うということであれば、姿形は似ているのでベステル種を飼うのが良いと思います。ベステル種は飼いやすいです。

質問7:もともといた種類であれば放流してもいいのですか?
尾本:もといた種類であれば、放しても良いみたいですね。でも放流は国とか道レベルでしか聞いたことがないですが、例えば企業でやるのは抵抗があるので、市民レベルでやるというのは良いと思います。ぜひ、石狩川でチョウザメが泳いでいるのを見てみたいですね。子供が、竜だ!と叫んで上に飛び乗ったという話も残っていますけど。

今生き残っているのは、少し変わった環境なのですね。非常に大きな川の河口であったり、カスピ海や黒海もそうなんですけど、あそこは塩分が海水の1/3で、汽水域というんですが、小動物がすごく豊富なんです。茨戸川は昔直線化されていなかった頃は、ずっと汽水だったと思います、今でも海水が江別くらいまで入っているらしいですが。

ダウリアチョウザメについては、アムール川でサケを食べているという文献があります。北海道ではサケが大事な魚ですから、大きな声で言えないですね。ただ、昔石狩川にいたチョウザメの方は魚を食べないと思います。サケを食うやつは、5mにもなる。それは研究できる範囲を超えています。天塩川では5.6mのチョウザメが大正4年に捕れたそうですけど、鉄砲で撃ったそうです。

質問8:金龍寺で祭っているチョウザメは、いわゆる海のサメの形をしているのですけど・・。
尾本:あれは、わざわざ江戸で作らせたそうです。チョウザメといって祭ってないんですよね。鮫様として祭っている。それを受けた江戸の職人さんは普通のサメだと思ったんでしょうね。石狩、天塩川ではチョウザメと言わないでカワザメと言ってたんです。でも、サメを祭ったというのはそこ以外聞いたことないですね。

質問9:在来種は現在まだロシアにはいるのですよね。
尾本:います。
質問10:資金や、いろんな問題はあるけど不可能では無いのですよね。
尾本:国内に国際Stergeon交流協会というチョウザメ好きの人達の集まりがあって、その人達はお金を払えば、サハリンから持って来れる、と言っていますね。その組織とは別に日本チョウザメ研究会というのもあります。世の中にはどんな手を使っても手に入れようという人がいますが、ただチョウザメは、全種類ワシントン条約の対象になっているので、正式に輸入となると手続きが必要です。

米澤:尾本さん、どうもありがとうございました。

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