茨戸川環境市民フォーラム 学習会2006
2006年度第一回目となる今回は、南区常盤でヤイユーカラの森を主宰している計良光範氏を
ゲストスピーカーにお招きしてアイヌの自然観と題するお話をいただいた。

ヤイユーカラとは
学者・研究者に独占されてきたアイヌの研究を「アイヌ自身の手に取り戻す」
ことを趣旨に
1973年創設された『ヤイユーカラ・アイヌ民族学会』(自ら行動する・アイヌ民族学会)は、
野外活動や研究活動、海外先住民との交流活動などを展開し、大きな成果を残してきまし
たが、1980年代以降活動が停滞してきました。 専従事務局を中心とした日常活動の体制
を作れなかったのが主な原因でした。 その創立精神を受け継ぎ、発展させたい。北海道
の自然の中で生み出されて伝承されてきたアイヌ民族の文化を、永い間閉じ込められてき
た博物館や、 押し込められてきた昔ながらの概念から解き放ち、現代の自然の暮らしの
なかに取り戻し、生き生きと息づかせたい。 こんな思いを温めていたアイヌと和人が、
1992年1月に『ヤイユーカラの森』を発足させました。 アイヌの民族文化を学び、楽しみ、暮
らしの中に取り入れるさまざまな事業をおこない、仲間を集め、輪を広げ、活動の拠点とな
る『森』を作りあげよう。 その『森』でもっとも大切なことは、大人も子供もみんなが自分で
考え、行動すること。ヤイユーカラ精神です。
ヤイユーカラの森とは
●ヤイユーカラの森の主な活動●
<野外活動>四季のキャンプ……山菜採り・鹿狩り・川遊び など
<各種講習会>伝統文化の学習・伝承……刺繍・ゴザ編み・袋製作・木彫・料理
など
<伝承活動>伝統技術の習得・伝承……クチャ(仮小屋)・イタオマチプ(板綴舟)
など
<研修・学習>民族史・民族教育 など <海外先住民との交流>情報交換・会議への参加、
主催・交流団派遣・招へい など
<出版活動>季刊誌「Yay Yukar Park」発行・書籍刊行・ビデオ制作 など
<協力活動>情報提供・講師派遣 など 今までの活動報告や刺繍教室での作品、イン
フォメーションや計良光範の連載コラムなどなど。
ヤイユーカラの森については、是非一度ホームページをごらんください。
http://www13.plala.or.jp/yayyukar/information.html
『ヤイユーカラの森』は、ヤイユーカラ・アイヌ民族学会創立の精神「ヤイユーカラ(自ら・
行動する)」を基本に、この北海道の大地でアイヌと和人とが、ともに敬いあい助けあっ
て、真に心豊かな生活を築きあげるための知恵と力を養う場として創設されます。
『ヤイユーカラの森』には、アイヌの現在と将来に関心を持ち、<自ら行動する>ヤイユー
カラ精神を持つ人ならだれでも訪れ、滞在することができます。その入口で、「あなたはア
イヌか和人か」と問われることはありません。 『ヤイユーカラの森』では、アイヌの伝統文
化に触れることができるばかりでなく、さまざまなアイヌ民族に関する情報、世界の先住
民族に関する情報を得ることができます。 しかし、『ヤイユーカラの森』は博物館でも、情
報センターでもありません。そこでは、暮らしのなか、自然のなかでアイヌの伝統文化が
生きています。同時に伝統文化をふまえた新しいアイヌ民族文化も生み出されます。それ
はアイヌも和人も、だれもが共有、享受できる文化であり、暮らしや社会のありかたを見
直し、変えてゆく文化です。 『ヤイユーカラの森』を訪れる人は、それぞれに自らの関心と
感性の求めるものを学び、考え、楽しみ、やすらぐことができます。そして、そのなかで自
分自身を発見し、友情や共感、地球市民としての将来の展望や使命感を得ることがで
きるでしょう。 『ヤイユーカラの森』は、その趣旨に賛同し、参加し学ぼう、楽しもうと考え
る人々によって支えられ、維持されます。『ヤイユーカラの森』の会会員として『ヤイユー
カラの森』を利用するだけでなく、その維持、発展のために、それぞれが持つ専門知識や
技術などを提供する形で参加することができます。 アイヌの口承文学ユーカラは語り手
と聞き手がいてこそ成り立ちます。聞き手は語りを聞き、胸をおどらせながらレプ(炉ぶ
ちを叩いて拍子をとる)し、ヘッチェ(かけ声であいの手を入れる)します。ユーカラとは語
り手と聞き手の感動のキャッチボールによって創りあげられる芸術作品なのです。
「ヤイ
ユーカラ(自ら行動する)」は、私たちからあなたへの呼びかけであると同時に、私たち自
身、そしてあなた自身による自らへの問いかけでもあります。
ともに「ヤイユーカラ」しましょう。